インプラント治療の
歴史と技術の進歩

インプラント治療には長い歴史があります

インプラント治療の概念は紀元前3世紀頃からあったとされています。
そこから長い年月をかけ、1901年に現在のインプラントの足がかりになる構造が生まれました。
その時点では素材の点で問題がありましたが1952年に「チタンが骨に結合する」という発見がなされ、そこから劇的にインプラント治療は進歩することとなりました。
近年では術後の症例が多く報告され、インプラント治療の安全性・耐久性は国際的に広く認知されるものとなっています。
インプラント治療は外科手術ですので不安もあるかと思います。
ですが、非常に成功率の高い治療方法ですので、しっかりした設備と信頼できる歯科医師のいる歯科医院で安心して治療を受けてください。

紀元前3世紀頃に栄えた古代ローマ帝国時代から

インプラント治療の考え方は非常に古く、遡れば紀元前3世紀頃の古代ローマ帝国の遺跡にその痕跡が見られます。
というのも、移籍から出土したその時代の人骨に鉄製のインプラントが埋め込まれていることが発見されたからです。そのことから、インプラント治療の歴史は古代ローマ時代より始まると推測されています。
また、紀元前7世紀頃のマヤ文明時代の遺跡からは、鉄製ではありませんが、貝殻で作られた歯のような物が埋め込まれた痕跡が残されていました。
デンタルインプラントの考え方や治療方法は長い年月をかけて蓄積してきた賜物なのかもしれません。

1901年の発見から近代のインプラント治療が進歩

近代インプラントの始祖として、歯科医師のグリーンフィールド氏があげられます。彼が考案した白金インジリウム製の円錐台上で格子造りの鳥籠状骨内インプラントを足掛かりに、1913年に改良した円筒状の構造が生まれました。
ただ、構造上は問題ないものの、素材に問題がありました。様々な金属を鉄や金、アルミニウムやステンレス等、様々な金属や鉱物を試したのですが、人体に埋め込んだ際にどうしても拒否反応が起きてしまっていたのです。
そこからもインプラント治療は改良に改良を重ね、遂に1952年にブローネマルク博士の発見によって劇的に進歩することになります。
その発見というのは「チタンは骨に拒否反応をおこさず、結合する」というものでした。
現在のインプラント治療では当たり前と言っていいチタン素材がデンタルインプラントに用いられるようになり、耐久性や動物実験を経て1962年から本格的に人間へのインプラント治療が行われるようになりました。

1978年のコンセンサス会議で評価基準が確立

チタンの特性が発見されてからしばらくした1978年に、初のデンタルインプラントのコンセンサス会議がハーバード大学とアメリカ国立衛生研究所の共催で開かれました。
そこでやっと、デンタルインプラントのデータ収集と分析、評価基準が確立されました。
さらに、4年後の1982年のトロント会議では、予後15年の症例が報告され、インプラント治療の安全性、耐久性が広く認知されることになりました。
これを機に、北米を中心に爆発的な普及となったことから、トロント会議はデンタルインプラントの大きなターニングポイントだったといわれています。